舞台で居眠り

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 初めて、舞台で居眠りしたのは、東宝の初舞台でした(爆) 

 とにかく、付き人をしていた事もあって、舞台裏では、ひどく忙しく。お茶を飲む暇もなく、全力で走っているような状態でした。
 それにくらべ、舞台の上は、静かで、誰にも怒られないし、照明は温かだし、日向ぼっこをしているような気分でした。それは、自分の事だけを考えられる、至福の瞬間だったんですね。そして、寝ました。こうした場合、普通の人とは逆に、明るくなったら目が覚めるのではなくて、暗転で目が覚めます。なんて、合理的な!
 なかでも、一番爆睡したのは、ある地方での公演でした。最後、カーテンコールの時、僕たちは、正座をしていて、頭を下げる状態でした。舞台にデコをつけたまま、緞帳が下りるのを待つわけです。緞帳が、降りきる前に頭を上げると、ちょっと間抜けなのですね、かといって、自分でタイミングを取るのは、面倒くさいので誰か起き上がるまで、待つわけです。そして、いつの間にか寝ました。気がつけば、舞台にはもう誰もいません、それどころか、セットがおおかた片付いていました。舞台の中央で一人土下座したまま、微動だしない役者を見て、スタッフの方々は、どう思われたか、考えるだに恐ろしいです。誰か起こせよ!そうです。役者は孤独な仕事なのです。
 また、舞台で寝るのは、出番があるときだけでは、ありません。師匠の動きを勉強したり、他の人の芝居を勉強するために、舞台の袖から、芝居を見ていたりします。しかし、袖は、人の出入りが多いし、だいたい邪魔ですね。それで、一番見やすい場所はというと、花道の揚げ幕のところです。そこからそっと、幕を開けて見るのです。でも、一ヶ月だいたい50ステージ弱ぐらい、そりゃ毎日見てたら、飽きますよ?で、ある日、寝ました。ふと目を覚ませば、全然違う場面をやってます。しかも、手には、師匠のスリッパがあったりして、やばいです。師匠は、楽屋まで、裸足で帰った事になります。がしかし、師匠は怒りません、それは当たり前でしょう。それが信頼関係って奴ですよ、僕が居眠りしてたなんてだれも信じませんから。(笑)そうです。舞台は信頼関係を築く場所なのです。

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